これからトレーニングを始めたいお考えの方へ、一番良いタイミングで無駄なトレーニングをしない為に、是非とも声を大にして知っておいて欲しい基礎基本をご紹介します。
筋トレ初心者に最低限知っておいて欲しいこと
筋トレ初心者こそ『食』が大切
筋トレを始めたばかりの初心者の心境は、マシンを使い、ダンベルを使い、額に汗かきながら一生懸命重たい重さを使ってトレーニングしていればゴリゴリの大胸筋や、上腕二頭筋が手に入る。そういうイメージを持たれている方も非常に多いと思います。が、しかし実際はというと、筋トレを頑張っても筋肉が増えない人はとても多く、その方々のお話を聞くと大抵の方がつまずくのが『食』です。※フィットネスクラブ勤務時に圧倒的に多い落とし穴でした。
体重を絞る、筋肉を増やすなど、身体に変化を起こす際に絶対に避けて通れないのが毎日の『食』です。特に初心者は『鳥の胸肉やささみを食べるんですよね?』と、ボディビルダーの減量時の食事をイメージして(インパクトが強いからでしょうか)それをまねる傾向が圧倒的に多いですが、実際は米も大事ですし肉も脂質を含むものの方が筋量を増やす際には適していたりします。
身体を変えていくためにはトレーニングの種類を知る事、ケガをせずに負荷をかけられるトレーニングフォームを習得するのと同じくらい、『何をどれだけ食べると良いのか』という『食』対する知識を入れて実行していくことが重要になりますので、派手で花形なトレーニングのことだけでなく、地味で重要な『食』についてもしっかり学ぶよう心がけましょう。
筋トレ初心者はまず方向性を定めよう
筋トレと一言で言っても得られる効果は様々で、欲しい効果に合わせて実施すべき内容は異なります。
例えば、最大筋力向上(重たい重さを持ち上げられるようになる、強い力を発揮する)を目的としたトレーニングと、筋持久力向上(長時間動かし続ける事が可能になる、疲れにくくなる)を目的としたトレーニングとでは、反復回数やそれに伴う使用重量は全く異なります。
やみくもにトレーニングを始めるのではなく、自分が筋トレで一番何を得たいのか(太くしたい?力を付けたい?持久力?)を明確にして、それに合った内容を実施していくようにしましょう。
筋トレ初心者は長期的目線で考えよう
一時的な現象を除き、基本的に人間の変化は緩やかです。(3日で30kg脂肪で太ったり、1週間で-10kg激やせしたりしないですよね?)それと同じで筋肉も急に増えたりはしません。目で見てわかるレベルの変化には最低でも2~3ヶ月を要すと言われています。
なので、トレーニングを実施していくうえで重要な要素には『継続できること』も含まれます。筋トレを始めたての初心者は、短期決戦で一気に身体を変えたいと思い、週に5日、6日見たいな頻度で全身トレーニングしてみたりするのですが、おおよそ2ヶ月と持たずに週5から週2回、隔週、月1回の様に失速し、やがて運動自体しなくなってしまう方がかなりの数いらっしゃいます。
ですので、身体を変えていく目的で運動を開始する場合はあらかじめ長期的な目線で考え、気分が乗ったときに一気にやるのではなく一定のペースを保つような思考で、習慣化を狙っていくようにしましょう。
筋トレ初心者が失敗していくパターン
筋トレ初心者失敗パターンその1 友人と一緒に始める
筋トレ初心者がやりがちな失敗パターンその1は『友人と一緒に始める』です。一見友人と一緒に始めることで、楽しく続きそうなイメージはありますが、キャッチボールやテニスみたいなスポーツとは異なり、基本的に筋トレは個人で行うものになります。一緒にジムに通っても、入り口や更衣室までは一緒だけどジムエリアに入ったら完全に別行動と言うのがほとんどです。
スタートする上では気持ちが楽ではあるものの、その後友人とのスケジュールが合わなくなったときに一人で通えない、スケジュールが揃わないことが通わない理由になる事が非常に多いので、最初は少々ハードルが高く感じても運動は一人で始めることをお勧めします。※一人で通うことができるようになってから、体格や身体能力が近い方と一緒にトレーニングする(合トレ)のはお勧めします。(あくまでも各々が自立してトレーニングできる上で一緒に行うのは、モチベーションや新たな刺激を得るうえでお勧めします)
筋トレ初心者失敗パターンその2 メンテナンスを軽視する
筋トレ初心者がやりがちな失敗パターンその2は『メンテナンスを軽視する』です。簡単に言えば、筋トレを始めた初期の方が運動を継続しなくなる理由や、ジムに通わなくなる理由に『疲れて仕事に支障が出るから』や『ケガをしてしまって』なんてこともとても多いのです。
この記事を書く私自身もフィットネスクラブに通って運動をしていましたが、ジムエリアにいけばマシンがあり、ダンベルや機材がありテンションが上がる中、殺風景なストレッチゾーンで地味にストレッチをすることに時間はなかなか割かないようになってしまうんです。
ストレッチが身体にもたらす影響を軽視してしまうというか、『え?ストレッチってお守りみたいなもんでしょ?』くらいにしか考えないというか…。しかしながら筋トレ自体が身体に負荷をかける内容の為、身体に残る疲労を軽減させるため、動きに不調を起こさない為にも、ストレッチ、マッサージ、筋膜リリースの様な身体のコンディションを整えるメンテナンスについてはしっかりと時間を割くようにしましょう。
筋トレ初心者失敗パターンその3 家から遠い場所で行う
筋トレ初心者がやりがちな失敗パターンその3は『家から遠い場所で行う』です。足しげく通っていたものや続けていたものの頻度が下がる事を『足が遠のく』と言いますが、そもそも遠い所に通っていたら遠のきやすいですという事です。
先に書いたその1、2にも共通する事ですが、筋トレ初心者が失敗するパターンのほとんどが効果が出なくてではなくて、効果が出る前に『継続できなくて』辞めてしまうから結果効果にもつながらなくなるのがほとんどです。
なので事前に、自分が運動を継続しなくなるとしたら、それはどんな理由かを考えて、理由になりそうなことで事前に手が打てる内容には手を打っておくことが成果への一番の近道かもしれません。※ちなみに『継続したら自分で自分にご褒美』パターンもあんまりお勧めしません。(私がお会いしたそのパターンで頑張った方のほとんどが、達成する前に自分にご褒美与えちゃってました(笑))
筋トレ初心者へ基礎基本
基礎基本その1 タンパク質+炭水化物
筋肉をつけていきたい筋トレ初心者に意識して欲しい栄養素は、まずはシンプルに『タンパク質』と『炭水化物』です。『タンパク質』に関しては多くの方がご存じの通り『肉、魚、卵』などがメイン食材になり、そのほか大豆、タコ、イカなどの海鮮などが該当します。
こちらについては最近TVなどでのボディビルダーや俳優の肉体改造などでの食生活紹介などで見かける事もあるので、イメージしやすいですし、最近ではYouTubeなどでタンパク質が多くとれるお勧めレシピも多く出ていますので積極的に情報を取りに行くと良いでしょう。
そして見落としがちなのが『炭水化物』になります。こちらについてはタンパク質とは異なり、直接的な筋肉の主原料ではありませんが、炭水化物を多くとる事により血糖値が上昇しインスリンが分泌され、効率よく栄養を体内へ吸収する反応を誘発します。
なのでタンパク質単体で多量に食べるよりも、一緒に量摂取することで効率よく体内へ吸収することができるという事になります。加えて筋肥大を狙う場合比較的高重量の負荷を扱うことになりますが、その際のエネルギー源になるのもこの炭水化物になります。
タンパク質だけ意識して摂取し炭水化物がなかなか取れないと、そもそも筋トレ時にエネルギー不足を引き起こし、質の高いトレーニングがそもそもできなくなってしまうことにもつながるのでタンパク質と同等に大事だという認識を持つようにしましょう。
ここからは補足事項になります。
・筋トレした日だけでなく、コンスタントに摂取できるようにしましょう。
・朝を食べず、1日の中でどこかでドカ食いするというのではなく、1日や、1食単位でコンスタントに摂取しましょう。
・個人で必要量の計算が難しい方は『できるだけ』食べる意識を持ちましょう
・筋量を増やすときの食事はある程度脂肪量も増えることと認識しましょう
基礎基本その2 目標回数と休憩時間
筋トレ初心者に抑えて欲しい基礎基本としてウエイトトレーニングで得られる効果と、それに合わせた目標回数と休憩時間についてがあげられます。得られる主な効果は1.最大筋力向上 2.筋肥大 3.筋持久力向上 の3つで、それに対応する目標回数と休憩時間(セット間)は下記になります。
1. 最大筋力向上…目標回数 1~7回 セット間休憩 2~3分程度
2. 筋肥大 …目標回数 8~12回 セット間休憩 90秒程度
3. 筋持久力向上…目標回数 13~20回 セット間休憩 30秒程度
※上記についての回数や秒数については資格発行団体によっても若干変わる部分があるので、ある程度アバウトに見て『目安』とした方が良いかと思います。
上記のおおよその基礎基本に加え、下記の内容を考慮していただくことをお勧めします。
・使用重量は挙上不可能まで行った結果、目標回数周辺になる重量を使用する
例
60kgで限界まで行ったところ、10回行えて11回目が行えなかった⇒目標回数 8~12回の筋肥大の効果が期待できる重量である
逆に最大筋力向上を狙う場合で限界まで行った結果8回以上できる重量は、若干増やすことを視野に入れた方が良い
・休憩時間が長いことによるメリットは多く、デメリットはそれほどない
※全身持久力や心肺持久力を高めたい場合は短めを意識した方が良いが、それ以外の場合は目安のセット間休憩よりも長く取っても問題なく、むしろ短いと休憩時間があれば本来できた回数よりも挙上回数が減るためトレーニングの質が下がりやすいとされています。
・最大筋力向上目的のトレーニングでも筋肥大すると言われてきている
こちらについては私がトレーナーとして駆け出しの時と内容が変わってきていることですが、最近では最大筋力向上のトレーニングと筋肥大のトレーニングとで、筋肥大の成果について比較したところ同等というようなことも言われてきています。(加えて最大筋力向上トレーニングの方が使用重量は伸びやすいので、身体にかけられる負荷が増え、使用重量向上は肥大にもつながりやすいと言われてきています。)
筋肉をつけることを目的としてトレーニングする際に、フォームが安定していない状態や、関節にリスクを抱えている場合など、あまり高負荷をかけない方が良いケースもあるので簡単に最大筋力向上一択ですとは言えませんが、傾向として設定目標回数はやや少なめで考えて高重量を追っていく意識はあった方が良いかもしれません。
・慣れてきたら『最後だけ本気出す』が良いかも
トレーニング初期は身体的限界と精神的限界の間にかなりのギャップがあるため、まずはそのギャップを埋めるために(フォームを崩さない範囲で)限界まで頑張る事に着手した方が良いのですが、ある程度そのギャップが埋まってきた際には1つの種目に対し、最後のセットは全力を出し、それ以外のセットは限界から1~2回手前でやめておいた方が良いという見解もあります。
※総セット数を増やす為やオーバートレーニング(ケガなど)を起こさない為にお勧めです。
・セーフティー、カラーは『必ず』使用すること
あえて記述するまでもなく当たり前であって欲しい内容にはなりますが、命あってのトレーニングです。挙上不可能になっても安全を確保するためにウエイトマシンや機材に付いている『セーフティー』や、バーベルが傾いてもプレートが落ちない為のストッパー『カラー』については必ず使用するようにしましょう。※周りの方にケガをさせない為にも絶対にお願いしますね!
基礎基本その3 適切なペースを掴む
筋トレ初心者に抑えて欲しい基礎基本として最後に『ペースを掴む』という事は是非とも意識していただきたい内容になります。
このペースを掴む目的としては、『長期的なトレーニングプランを完遂する』目的と『効率の良いトレーニングを実施していく』目的の2つの側面があります。
『長期的なトレーニングプランを完遂する』という点についてですが、トレーニングで成果を得るためには時間を要するため継続可能な内容でなければならず、継続可能な内容にするためには身体のキャパシティに合わせた適切なトレーニングボリュームを探る必要があります。
※ここで言うトレーニングボリュームはセット数で考えるとわかりやすいです。
イメージしやすく例えるなら
・最初の自分の体力を100とし、どれだけ休んでも100以上にはならないとします。
・1セットあたり体力を40消費します。
・体力が0にならないと筋肉が強化される指令が出されません。
・体力がマイナスになっても大丈夫ですが、-200になったタイミングでケガをします。
・1日で体力40回復します
とした場合、まずトレーニングは3セット(120消費)しないと指令が出されず、その場合1回のトレーニングで体力は-20の状態になります。※この場合毎日3セットトレーニングした場合10日でケガをする計算です。
そして、この場合のトレーニング頻度は、月曜に実施して体力-20、火曜体力20、水曜体力60、木曜体力100となるので中3日で実施すると無駄がなく行えるという計算になります。
※実際に考える時は数値はわからないですし、トレーニングを実施していないときの過ごし方で回復も変わるので、計算通りにはいきませんがあくまでイメージの話です。
ここのイメージでの重要要素は、体力100に対し3セット(体力-120)で良い所、5セット(-200)や6セット(-240)やらない事であったり、体力が回復しきっていない状態(中1日など)でトレーニングを実施する頻度で行わないことになります。
体力が回復しきっていない状態でのトレーニングは、『いつも行える重量が挙がらない』『休憩時間を確保してもいつもの回数できない』等の状態を引き起こすため『効率の良いトレーニングを実施していく』為にも、体力とトレーニングボリュームに対し意識を向けてオーバートレーニング(ケガなど)を引き起こさないよう注意しましょう。
参考内容
・トレーニングの内容は記録をとって推移を確認できるようにしましょう
※挙上回数が下がってきている場合は要注意
・筋肉痛が2日程度で消失する程度のボリュームを探してみましょう。
※4日、5日経たないと筋肉痛が無くならない場合はセット数を見直しましょう。(その際使用重量は減らさないよう注意)
・全く運動していない人が運動した初日は筋肉痛が激しく起こりやすいため要注意
※本来のポテンシャルが出るようになるまで2~3回はかけた方が良いかと思います。
まとめ
人によってトレーニングをまずやってみて、実体験を通し知っていく『体験型』の人もいますし、本記事で紹介した内容などを頭に入れた上で実施していく『慎重型』などタイプが分れます。
しかし、トレーニング初期は界隈では有名な『ボーナスタイム』と呼ばれる、トレーニングの刺激に対して筋肉が増えやすい(反応しやすい)時期というものがあります。
このボーナスタイムはトレーニング実施経過に伴い、徐々に消失していくとされており、やみくもにトレーニングしてこの時期を逃すのはもったいないと個人的には思いますので、是非最低限今回記載した内容は頭に入ったうえで実施していただけると良いかと思います。
良きトレーニングライフをお過ごしください!
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このコラムを書いた人
深谷のパーソナルジム・100マイル代表 後藤貴明
取得資格
- adidasパフォーマンストレーナー
- NSCA-CPT
- 骨格ベクトルトレーニング認定インストラクター
など
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